クレヨンきよちゃん

先日私は必死にシュレッダーをかけていた。

我が社のシュレッダーは壁に近いところにある。左の壁側には本が無造作に積み上げられている。

本を背に私は横向きで必死にシュレッダーをかけていた。ついでに言うと気持ちもやさぐれていた。するといつのまにか私の腰に本が当たってきた。〈ああ、まずい。本が倒れてきた〉私はおしりで一生懸命本を押し戻しつつ、手元の書類を無造作にシュレッダーに入れ続ける。しかしおしりで押している本は元の位置に戻った様子がなく、まだ倒れてきそうな気配である。私はむきになって本をゴリゴリ押し続ける。

すると私の視線の端に緑色の服が見え、声が聞こえてきた。「わたしっ、わたしっ。」

本だと思っていた物体はなんと同僚のわき腹だった。私は同僚のわき腹をおしりでごりごり壁に押しやっていたのだ。彼女は息苦しさに笑ってもいない。

なぜ本とわき腹を間違えたのか?どうもあばら骨を本の背表紙と間違えたらしい。同僚よ、ゴメンね。

 

この話には後日談がある。

この記事を数日前、予約投稿にしていたら、ある同僚がそれを読んでいた。その人は私に、

「東村山さん、あの機械の名称を言ってごらんなさい」とおもむろに言ってきた。

<へえっ?何のことだろう>と思ったが、もう一度その人は「東村山さん、あの機械の・・」と繰り返すので、「えっ、シュレッター」と言うと、「はぁ、もう一度」と言うので、私はもう一度「シュレッター」と言った。すると「違うわよ。あれはシュレッダーよ」と言うのだ。

私はびっくりしすぐにググった。そしてその時「シュレッダー」なんだと知った。

この約半世紀、私はその機械を「シュレッター」だと思い込んでいた。と同時に、私の脳裏を高校時代のある出来事がよぎった。

私の家では両親が鹿児島方面だったせいか、味などが濃いことを「こゆい」と言っていた。学校で「濃い」という漢字を習っても、味については「こゆい」と読ますのだななどと、自然に「こい」と「こゆい」が私の頭の中で並存していた。ところが高校1年の時、友達に「味がこゆい」と言ったら、「なにそれ?こいでしょ」と言われ、「はあ~何を言ってんの。味のことだよ。味がこいという意味」と自分で言いつつ、<あ、これは東村山家だけに伝わる言い方か>と気づき、今までの価値観にヒビが入る青天の霹靂現象を味わった。

 

「シュレッダー」と「シュレッター」。

「ダー」より「ター」の方が、絶対に切れ味がよく細かくしてくれそうなのに!!

 

上記画像:『クレヨンしんちゃん』公式ポータルサイトより

3件のコメント

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